5月10日イギリス館ピアノリサイタル

バラの蕾がほころび、庭を色とりどりに美しく魅せる、ゴールデンウィーク明けの横浜市イギリス館。 この日はあいにくの雨模様でしたが、霞んだ景色の中に点々と灯りをともすように咲いているバラの花々からは、ほのかに良い香りがしていました。 お越しくださる皆様の往復が朝から心配されましたが、雨の中、沢山の方々にご来聴戴きまして、深く感謝申し上げております。 今回は前半で、モーツァルトのあまり演奏されない、ハ短調の幻想曲も取り上げてみました。エマニュエル・バッハの影響が色濃い作品で、もともとヴァイオリンの為に作られたと言われている曲です。 次によく知られているニ短調、ショパンの幻想即興曲、バラード第4番。 後半にフランス音楽、ラヴェルの鏡から“悲しい鳥たち” “洋上の小舟” “道化師の朝の歌”、そしてドビュッシー前奏曲第2集から“ヒースの茂る荒地”、そして最後に“喜びの島”というプログラムでした。 聴いて下さる方によって、戴くご感想も色々で、大変興味深く、また勉強になりました。 終演後には皆様と直接お目に掛れて、とても嬉しかったです。 ・・一瞬で消えてしまう音と音をつないで、空間に可能な限りリアルな作品を描きだそうとするのがコンサートでのたった一度の演奏だと感じます。 いつの時代にも、常に新鮮な刺激を与え続ける生きた音楽として、クラシック音楽があれば素晴らしい事だと感じます。。




読売ランド老人ケアセンターにて

読売ランド老人ケアセンターに演奏に伺ってきました。 そこは大変綺麗な建物で、サロンにはきちんとしたグランドピアノが置いてありました。 それぞれに大切に時を重ねてこられた方々が、音楽の中でふっと遠い時間に“タイムスリップ”するかのように思いを馳せ懐かしまれていらしたようで、私たちにとっても感慨深い時間となりました。 明治時代に作られた曲目の途中で、海を渡ったフランス作曲家エリック・サティ(1866-1925)のピアノ曲が挿入されましたが、同時代の空気を含んだ音楽の為でしょうか、全く違う個性を持っているのにも関らず不思議と馴染むように感じられました。終わった後、皆さんがお部屋に戻られるまでの間は、ショパンとドビュッシーのピアノ曲を演奏させて戴きました。戻られる前に何人かの方が集まって来られて、いつまでもそのまま静かに聴いていて下さったのが印象的でした。

<演奏曲目>

春よ来い      相馬 御風 作詞   弘田 龍太郎 作曲
朧月夜       高野 辰之 作詞   岡野 貞一 作曲
さくらさくら    日本古謡      山田 耕筰 作曲
花         武島 羽衣 作詞   滝 廉太郎 作曲
Je te veux      Erik SATIE
荒城の月      土井 晩翠 作詞   滝 廉太郎 作曲
七つの子      野口 雨情 作詞   本居 長世 作曲
故郷        高野 辰之 作詞   岡野 貞一 作曲
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ショパン      ノクターン No.2 op.9-2
ショパン      小犬のワルツ
ドビュッシー    月の光




ドビュッシー光と影

ドビュッシーの音楽は 「印象主義音楽」ですが何故、そう呼ばれているかというと、19世紀の絵画や詩などに深く関わっています。 まず、絵画ではモネ、マネ、ルノワールなどがこの頃に出てきた画家達。従来の、自然などの 「形」 にこだわる書き方ではなく、自然などから受けた 「印象」 「雰囲気」 を光や色彩から感じ取り描く事が最も大切だと考えられるようになりました。 詩人にもボードレール、ヴェルレーヌなどが現れ、言葉の 「意味」 よりも、言葉によって何かを 「象徴」 することに重点がおかれるようになり・・まずこれらの芸術を「印象派」 と呼びました。 そして、この印象派の絵画や詩などに影響を受け、印象主義音楽の先駆者となったのが、・・クロード・ドビュッシー Debussy,claud(1862-1918)・・です。  ・・こんなありふれた事をどうして一々書こうと思ったかというと・・ 以前、友人と都内で催された 「モネ展」 を観に行き、そこで現物にしか感じられないような光の効果と、ドビュッシーの音楽とが本当にしっかりと結びついているのを感じたのです。 「日傘の女」の前に立った瞬間、ドビュッシーの音楽を聴いた時に感じるような、ふわーっとした微細な光の粒子が作品全体に掛かっているの視て、何とも優美な雰囲気に包まれました。 「ルーアン大聖堂」 や 「積藁」 が何枚も違う時間に描かれている作品も並べてありましたが、全く同じ場所を描いているのにも関わらず、光の強さ、傾き具合などで全く色合いが異なっていました。 実は数年前のことですが、フランスの景色や、住んでいたブリュッセルの部屋の壁、空間を満たす色の中に、そんな“光の魔法”に掛けられた色彩の変化を感じて、本当に驚いていたのです。 毎日同じ家に居るのに季節や時間帯によって白い壁や空中がうっすら赤や青に色づき、混ざって、微妙な色合いを浮かび上がらせていて、そこで音を奏でると印象派の絵画と音楽が頭の中で結びつくような感じがしました。 日本には日本の、美しい光や色調があるように、フランスやベルギーにもまた違ったそれがあるものだ・・とつくづく思いました。 ドビュッシーの音楽には、印象派の色彩豊かな光に満ちた作品が沢山あり、ラヴェルの緻密なそれとはまた異なる、オーケストラには直せない絵画的な作品が多いように感じます。
写真は、ライラック越しに観たエッフェル塔です。




ブリュッセルの樹氷

ベルギーの緯度はカラフト南部と同じ位なのだそうですが、メキシコ湾流の影響で雪は余り降らず、冷た い雨が降ったりやんだりしていました。 濃霧が枝について凍っているのですが、車の中から背の高い街路樹を見ると、こんな風に細かい小枝が低 くて灰色に曇った空に、黒いレースのような網目模様を作っている感じでした。 ブルージュレースの模様は、こんな景色を目にしている国だからこそ生まれるのではないかと思ったりも します。 何ともファンタジックなのですが、山でも自然の中でもなく西洋の石造りの街の通りでこれを見ると、た まにこの木が生き物のように思えてきて、細かい枝が「イヒヒ・・」と言いながら伸びてきそうでした。 (バカバカしい妄想ですが・・) ・・こんな時期は、静かでまるで真空管の中に居るみたい・・。鳥の声も全く聞こえません。 それで、そんな話を日本に電話をし友人に話すと「一瞬でいいから行ってみたい!」と言っていました が、私も今なら暫くここに行ってみたいと思ったりします。 私はフランクの音楽を聴いたり弾いたりすると、この景色を思い出します。パリで活躍した音楽家ですが ブルージュレースと同じで、この景色無くしてあの音楽は生まれないような気がします。





























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